松村は作品の中にデジタルとアナログ、先鋭と旧態など、相反する要素を作品に組み込み、それらの相互作用が鑑賞者の認識に及ぼす影響を追及しています。
デジタルの空間性と、アナログで描き起こされる際の物質的、有機的なレイヤーは独自の絵画空間の創出に成功しています。
今展では「Combination」と題し、一枚の作品をもとにデジタル上でトリミングや分解、組み換えといった再構成が行われ、タブローへと再描写される作品群です。
「Combinationシリーズの制作は小さな子供がおもちゃを散らかしながら遊ぶ感覚に似ている」と松村は言います。
子どもたちは散らかし遊びの繰り返しの中で、全体を認識し見分けるといった観察から、徐々に意味や条件を見出し、お気に入りのおもちゃを選び取るといった学習行為をして
いるとすれば、combinationシリーズは松村にとって自らの絵画を理解し、模索の中で美を追求しようとする行為であり、鑑賞者にとっては積みあがった形体や重なり合う色彩 の中で、絵画空間内の彼女自身による最適解を目の当たりすることとなります。
LAD GALLERY
|
|